千代田区神田須田町は、元々は神田川沿いの砂州に開かれた農地の洲田に由来します。江戸時代から神田川・日本橋川などの運河に挟まれた交通の要所で、明治以降も昭和後期頃までは日本橋・上野方面への都電(旧東京市電、路面電車)ターミナルとして賑わい、大正初年には赤煉瓦造りの万世橋駅(平成中期までは跡地が交通博物館)が中央線(旧甲武電車)の起点として開通して発展し、昭和中期~後期頃までは国内有数の羅紗(毛織物の一種)屋の町でした。また神田須田町から神田淡路町辺りにかけては、江戸時代から大正末期までは「連尺」職人が多く住んでいたことに由来する旧連雀町でしたが、昭和の大戦での戦災を免れて「奇跡のトライアングル」とも「味の三角地帯」とも称される一郭に大正末期から昭和初期の建造物が散見され、老舗の飲食店・食品店・商店などが数多く残っています。
1884年創業、奇跡的に空襲を免れた名店 神田まつや
淡路町駅から徒歩2分ほど、JR神田駅から徒歩7分ほどの場所にある 神田まつや。1884年(明治17年)に福島市蔵氏が創業した蕎麦屋です。関東大震災後の1925年(大正14年)に、小高政吉氏が承継されその後は小高家によって4代続く老舗店となっています。その際に建てられた木造二階建ての建物が奇跡的に戦災を逃れて今もその姿を残しており、2001年には東京都の歴史的建造物に選定されています。神田まつやさんのある神田須田町、旧連雀町近辺は歩いて3分ほどの距離に1830年創業・いせ源さん、1897年創業・ぼたんさん、1880年創業かんだやぶそばさん、1907年創業・松栄亭さん等があり、東京の老舗巡りの聖地の1つだと勝手に思っています。
という、神田まつやさんの外観です。周りのビルから切り離されて、この空間だけタイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。店内の様子です。順番前後しますが、終わりの時間に撮った1枚となります(営業中だと混んでて撮れない)。ここで蕎麦打ちしている様子、みてみたいなぁ。神田まつやさんは昭和30年代に機械打ちを止め手打ちに戻されています。お品書きです。こちらはお蕎麦系。もり・かけ770円は老舗蕎麦店としてはお安い価格帯です。神田まつやさんのご主人は以前インタビューで「あくまでも大衆店でありたい」と答えられており、老舗ながら大衆店の雰囲気もあって頼みやすい価格帯になっています。裏面は蕎麦前、ドリンクのメニュー。まつやさん来たら、お蕎麦の前に色々食べないとですよね。池波正太郎氏は「まつやで出すものは何でもうまい」と書いた通り、全てのメニューがめちゃくちゃ美味しいのです。まず、お通しで蕎麦味噌が出てきます。最高か。普段飲まないお酒が進む…。
こちら、にしん棒煮。うー、また日本酒が欲しくなる味w。
こちらはわさびいも。ふわふわ食感&わさびって最高の組み合わせですね。
こちらは、じゃこてん。生姜との相性抜群ですよね。
こちらは葉わさび。つーんとくる感じが堪らない。
今回は焼き鳥が売り切れでした。こちらは2018年訪問時の焼き鳥です。ぷりぷりしてて美味しいんだよなぁ。
今回オーダーしたかったもの、小田巻きむしがこちら。とある漫画で読んで食べてみたくなったのですよね。
みなさん、小田巻きむし、ご存知ですか?ざっくりいうと茶碗蒸しにうどんが入っている食べ物です。
好きなもの=茶碗蒸し&うどん、の私のためのような食べ物。最高だったなぁ。
〆にお蕎麦です。やや辛めの汁で食べるお蕎麦、最高に好きです。
別タイミングの写真となりますが、蕎麦湯の入れ物も可愛いですよね。
神田まつやさん、予約が出来ないので基本並んで入ります。かつ、そこまでお店が広くないので、基本は相席が前提でした(コロナ禍でポリシーは変わっております)。かつてはトムハンクスも来たという名店で、何を食べても美味しい上に体験としての老舗感がとっても素敵なお店だと思います。
ちなみに神田まつやさんは、小高家2代目賢次郎氏が薮系で修業され、3代目登志氏はかんだやぶそば・上野蓮玉庵・神田錦町 更科でその技術を学んだ方です。江戸蕎麦の良い部分が沢山継承されている、ということなのでしょうね。神田まつやさんのお蕎麦もかえしも本当に大好きです。
——–神田まつや 基本情報———-
〇創業年 1884年創業 / 明治17年創業
〇営業時間
・月~金 11:00~20:30 (L.O. 20:00)
・土・祝 11:00~19:30 (L.O. 19:00)
※日曜日 定休日
〇住所
東京都千代田区神田須田町1-13
(公式サイト)⇒ 神田まつや オフィシャルサイト