煉羊羹発祥の店 総本家駿河屋善右衛門で元祖ようかんを / 和歌山 和歌山市 1461年創業 (寛正2年)

和歌山県庁所在地の和歌山市は、江戸時代は初期が浅野家で、後に御三家の紀州徳川家が治めた紀州藩の城下町です。古くは若山と称されていましたが、1585年(天正13年)に豊臣秀吉の命により豊臣秀長が和歌山城を築城の際に、秀吉が古来の名勝・和歌浦に対する地名として和歌山と命名したとされています。めはり寿司・クエ料理・胡麻豆腐・高野豆腐料理・各種和菓子等の特産品・郷土食品・料理も多く、市内には老舗の飲食店・和菓子店・食品店が多数残っています。

1461年創業、煉羊羹の元祖の店として知られる老舗和菓子店 総本家駿河屋善右衛門(ぜんえもん)

和歌山市駅から徒歩で10分ほど、和歌山バス 本町2丁目から徒歩3分ほどの場所にあるのが、総本家駿河屋さん。創業は1461年(寛政2年)と、室町時代創業の老舗中の老舗といってよいお店です。

創業時は鶴屋と名乗り、現在の京都市伏見区にお店を構えられていました。和歌山に店舗を移されるきっかけとなったのは、紀州徳川家の祖となる、徳川頼宣氏によるもの。頼宣氏が駿河(現、静岡県)に転封になった際に随伴し、さらに紀伊(現、和歌山県)に転封されるとまた随伴し紀伊に店舗を構え、その後は紀州藩の御用菓子司となりました。

鶴屋さんが、駿河屋という名になったのは、紀州徳川家 綱吉氏の娘で鶴姫ご結婚がきっかけ。駿河という名前は徳川綱教氏から賜った説もあれば、居住地の「駿河町」から付けたの、「駿河」から移転してきたことから等様々な説がありますが、詳しくは分からないようです。

という駿河屋さん、大きなニュースになったためご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、2014年に破産をされております。その辺りは下部に記載しますが、2015年に営業再開され、19年5月現在は9か所で営業されるまでに至っています。また屋号を2021年より創業者のお名前を付け、総本家駿河屋善右衛門(ぜんえもん)と屋号を変更されました。

長くなりましたが、こちらが本店の外観。かなり大きな店舗で圧倒されます。 店舗正面から。いやー、ほんと大きい!
店舗内の写真を撮り忘れましたが、50種類程度のお菓子を製造販売されているので、かなり沢山のお菓子がありました(が、バブル崩壊前は500品目近くあったそうなので、これでも減っているそうです)。

そんな沢山のお菓子の中で、駿河屋さんといえば元祖として知られる煉羊羹です。1589年(天正17年)に豊臣秀吉に献上したことが記録に残っており、明治時代には 第一回パリ万国博覧会に出品し金賞も受賞している、歴史と格式のある羊羹なんです。

という羊羹ですが、1本買うと分けづらいので今回はひとくち羊羹を買ってきました。パッケージがカワイイ!
もうちょっと別角度から。煉羊羹・小倉羊羹・栗羊羹でそれぞれパッケージの色が違う感じです。 ということで練羊羹がこちら。この少しオレンジがかった色が本当に奇麗。がつんと甘みが来るので、渋めのお茶が合いますね。この甘み、お菓子食べてる感があって凄くいい。 ちなみにちょっと珍しい羊羹シリーズも販売されていました。ブルーベリー、キャラメル、ゆずチョコの3種類。ブルーベリー、ゆずチョコは個人的そこまでヒットせず、でしたが、キャラメルはすっごく美味しかったです。甘みと苦みのバランスが素敵でしたよ(中身の写真は撮り忘れ…)。

駿河屋さん、上部にも記載しましたが倒産を乗り越えて、という歴史があるので軽く触れておきます。詳しく知りたい方はwikipediaを読んで頂くのが良いのですが、バブル期に積極展開するもバブル崩壊後に赤字転落。その後架空増資事件等もあり上場廃止、スポンサー探し難航等苦難の道を歩まれます。
ですが、和歌山で再開を望む署名運動であったり、「老舗ブランドって何? 駿河屋問題をみんなで考えよう」というシンポジウムが開催されたり(このシンポジウムは以前ご紹介した1862年創業の諏訪園のご主人も参加されています。こちらの記事で内容をご確認頂けます)と、復活を望む声があり、破綻の翌年の2015年に2月に京都伏見店を営業再開、3月に総本舗として和歌山市の本店を営業再開されました。

事前事後情報が多くなっていますが、駿河屋さんは多くの分家を産んでおり、大阪府堺市にあった堺・駿河屋は歌人・与謝野晶子の生家となります。堺・駿河屋は廃業してしまっていますが、その一部は晶子記念館にて展示されているとのことです。

少し脇道にそれましたが困難な歴史を歩んでも残った元祖煉羊羹、和歌山訪問の際には是非食べてみてください。

——- 総本家駿河屋善右衛門(ぜんえもん) 基本情報———-
〇創業年  1461年創業 / 寛正2年創業
〇営業時間
9:00~18:00
※無休
〇住所
和歌山県和歌山市駿河町12
(公式サイト)⇒ 和菓子の総本家駿河屋

1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です