※築地市場移転に伴い移転しました。
江戸時代に明暦大火で焼失した浅草西本願寺の代替地(現、築地本願寺)として佃島住人が埋め立てて出来た中央区築地。永らく海軍用地として使用され、その跡地には昭和初期に日本橋から魚河岸が移転し、世界一の魚市場と知られるまでになりました。魚市場が豊洲に移った現在も、場外市場等は多くの買物客や外国人などの観光客で賑わっており、老舗の飲食店なども数多く点在しています。この築地場内市場に吉野家 築地一号店はあります。
“美味くて、安くて、早い!”牛丼を初めて世に送り込んだ老舗中の老舗
『え?あの吉野家?』と思う方もいらっしゃると思います。そう、そうです。あの吉野家です。
吉野家は、今でこそどこにでもある牛丼チェーン店ですが、元々は日本橋の魚市場に従事する市場関係者のために、“美味くて、安くて、早い!”牛丼を初めて届けた老舗中の老舗。
本来は横浜から広がっていったとされる牛鍋・すき焼き鍋が派生して丼ものになったとされる牛丼ですが、吉野家はその牛丼を現在でいうファストフード的な解釈で提案した元祖でもあるのです。
“多くの食通に愛される老舗激戦区・築地のカウンター的存在”
築地は市場の場外内共に、お鮨屋さんや定食屋さんが軒を連ねる知る人ぞ知る老舗の超激戦区。築地ときけば、まずお鮨屋や定食屋さん、卵焼き屋さんが思い浮かぶべきでしょう。吉野家が頭に思い浮かぶ方はそうそういないと思います。
しかしこちらの吉野家は、そんな激戦区の中でもカウンター越しで食べる正しき牛丼屋の体を成していて、ある種の様式美さえ感じるものです。
店頭上部には、吉野家の歴史が書かれたプレートが飾られています。
たまたま訪れた築地場内市場で吉野家があることに驚いたと共に、このプレートを読んで吉野家の深い歴史に触れる方も多い様です。
そして、お馴染みのオレンジの垂幕も異彩を放っていますね。
“吉野家”のロゴにアンチテーゼ的な力強さを感じます。
“築地市場の人々に愛される吉野家”
店内は、市場に従事しているであろう長靴やゴムエプロンを召した方々が黙々と牛丼を駆け込んでいます。
そして、メニューは少し特殊で牛丼とサイドメニューのみ。他の多くの吉野家で展開しているすき焼き系等その他メニューは取り扱っていません。
それゆえに、オーダーから牛丼が出来上がるまでが本当に早い!市場で働く方々がサクッと腹ごしらえをすることに特化しているというわけなのです。
味はもちろん、いつでもどこでも「美味い!安い!早い!」のあの牛丼。とはいえ、周りのお店とのコントラストや店内の雰囲気から、ノスタルジックで懐かしい雰囲気の牛丼の味を堪能することができます。
常連でツウの方は、玉ねぎ多めの”ネギだく”を注文されるようです。
現在ニュースでも囁かれていますが、ここ築地市場は2016年4月をもって移転してしまいます。
こちらの吉野家も移転先で営業をするかは判っていませんが、この雰囲気を味わいながら食べられる時間は残り僅かです。
———-吉野家 築地一号店 基本情報———-
・創業年
・1899年(明治32年)
・営業時間
[月~土] 5:00~13:00(日曜定休・築地市場の営業日に準じます)
・住所
・東京都中央区築地5-2-1 築地市場 1号館