戦国時代の後北条氏や江戸時代の小田原藩の城下町として栄え、およそ400年前に東海道五十三次中で最大の規模であった9番目の小田原宿が設けられて賑わった神奈川県小田原市。古名の「小由留木」(こゆるぎ、「淘陵」とも表記)の草書体を読み間違えた説や、原野を開墾して小田となったとの由来説があります。西湘地域の核であり永らく箱根観光の拠点でもあって、豊かな自然の中で海山の産物に恵まれ、蒲鉾や梅干などの特産品で全国に知られており、各所に老舗の飲食店・和菓子店・食品店などが点在しています。
1781年創業、小田原かまぼこ発祥の店 鱗吉(うろこき)
小田原には様々な名物がありますが、最も知名度が高いものの一つが「蒲鉾」かと思います。小田原の場合は、明治時代に13社で組合を作り、「小田原蒲鉾」として商標も取得されています。そんな小田原には、「かまぼこ通り」という、蒲鉾屋さんが並んでいる街道があり、今回は通り沿いにある鱗吉(うろこき)さんへお伺いしました。小田原駅から徒歩15分程度と、少し歩く場所にあります。
鱗吉(うろこき)の創業は1781年(天明元年)で、既に230年以上の歴史を持つ歴史あるお店です。創業当時 鮮魚商であった田代吉右衛門さんは、採れ過ぎた魚の有効活用として蒲鉾製造に乗り出し、それが小田原の板付け蒸し蒲鉾の発祥へと繋がったそう。その歴史をもって、店頭で「小田原かまぼこ発祥の店」とうたっていらっしゃいます。
ちなみに、鱗吉(うろこき)という屋号は、北条氏に関係しています。北条氏は三角形を鱗に見立てた三つ鱗を家紋としており、うろこきの先祖の方が家紋の一部の三つ鱗を賜り、初代の吉右衛門の頭文字「キ」を加え、うろこき、という屋号になったそう(という歴史を踏まえないと、うろこきち、とか、うろこよし、と読んでしまいそうですよね)。
と、前段が長くなりましたが、こちらが店舗外観。炙りじねんじょ棒の看板が気になりますね。 店舗を正面から。右側でお土産の購入、真ん中はカウンターっぽくなっていて、その場で食べることが出来るスペースでした。 上述しましたが、鱗吉さんは小田原かまぼこ発祥のお店。看板でもその旨アピールされています。 こちらは購入スペースのディスプレイ。様々な蒲鉾が並んでいます。 チーズちくわ、ふわぷち揚げ、五色しんじょ等気になるものが沢山!
今回は店頭の看板にあった、炙りじねんじょ棒を購入。焼きたてを食べることが出来ます。美味しそう過ぎる! 煉りものに自然薯が入った じねんじょ棒は、練り物オンリーよりも香ばしさがあって、高級感あふれるポテト的食べ物であり、練り物的な食べ物であり、と表現が難しいのですが、とにかく他にちょっとない触感。これ凄く美味しいよ。町中でよく見かけた理由が、食べてすぐ理解できました。
どこかでも書いておりますが、私の老舗訪問の他に、元祖の食べ物を食べる、という趣味があるので、そのために鱗吉さんに伺ったのです。
が、
なんと、
じねんじょ棒の美味しさに心奪われ、蒲鉾を買い忘れるという大失態。いや、これは失態でなく、近々再訪しなさい、というお告げに違いない…。
ということで、元祖蒲鉾はまた次回のお楽しみということで。
———鱗吉(うろこき) 基本情報———-
〇創業年 1781年創業 / 天明元年創業
〇営業時間
9:00〜17:00
※年中無休
〇住所
神奈川県小田原市本町3-7-17
(公式サイト)⇒小田原かまぼこ通り|元祖鱗吉(うろこき)公式オンラインショップ