隅田川の駒形橋傍らに建っている駒形堂は、およそ1080年前に浅草寺発祥の地に馬頭観音を祀って建立されたと伝わり、台東区駒形の地名はそれに由来しています。商店やオフィスなどが混在する中に老舗の飲食店も何軒か残っています。
1801年創業、江戸のどじょう文化を今に伝える 駒形どぜう
浅草線・浅草駅から徒歩3分ほど、蔵前駅から5分ほどの場所にある 駒形どぜう。1801年(享和元年)に、武蔵国(現、埼玉県北葛飾郡)出身の越後屋助七氏が浅草駒形にめし屋を開いたことで、その歴史が始まっています。創業時からどせうなべ・どぜう汁を提供し、2代目の助七氏の時代にくじらを扱い始めました。1848年(嘉永元年)には、当時のグルメガイド・江戸名物酒飯手引草にも登場した、江戸屈指の名店の1つです。
という駒形どぜうさんにお伺いしました。画像が鮮明でないのは、この日物凄い雨が降っていたためですw。
もう少し正面からのショットもどうぞ。とても雰囲気のある建物ですが、第二次世界大戦で全焼しており、戦後建て直された建物となります。
駒形どぜうさんでは、隔月に一度、江戸を学ぶ”江戸文化道場”を開いていらっしゃいます。現在はコロナで休講中です。再開したら伺いたいと思っています。
店内に入りました。1Fの座敷に通して頂きました。この地べたに座る感じ、懐かしい。2Fと地下は椅子席ですが、伺った日は1Fのみの案内でした。
時系列おかしいですが、帰り際にとった様子。広々としていますよね。
メニューです。どぜう、くじら、定食、お食事、一品料理・デザートに分かれています。
この日ゲストが遅れていたので、味噌田楽から始めました。蒟蒻とお豆腐の田楽です。ゆず味噌が乗っています。
まずは、どぜうなべから。いわゆる丸鍋と呼ばれる、どじょうを開かず丸のまま料理するタイプです。どじょうは酒に酔わせてあり、それを江戸甘味噌(ちくま味噌)で煮て、鰹だしをタレで煮込んでいます。使われている味醂は愛知県の九重味淋さんです。
で、ネギをたっぷり乗せて頂きます。あぁ、この味だ…! せっかくなので、どぜうさきなべもオーダーしました。こちらは名前の通り裂いてあります。店によっては抜きと呼んでごぼうと煮たりするケースもあります。丸鍋よりも食べやすいかも。
そして柳川も。どじょう・ごぼうを煮て、卵でとじています。
何杯でもご飯が食べられる味です。最高か。ちなみに七味も運ばれてきたのですが、同じ浅草の1625年創業・やげん堀さんのものを利用されています。 食べられる限り全種類いきたくなったので、どぜう蒲焼きも頼みました。これもご飯が欲しくなる味だなぁ。
ここからちょっとだけ鯨です。2代目が「どじょうが一番小さい魚なら、一番大きな魚を売ってみたいと」大阪から仕入れ始めたのだとか。現在はミンククジラを使われているそう。で、こちらはクジラベーコンです。甘味がジュワッと出てうまい。 ラストにくじらなべです。鯨の脂身の部分を牛蒡と煮ています。オイリーな感じとコリコリ食感がクセになる…! という、駒形どぜうさんは、2015年訪問時の写真が残っていたので掲載しておきます。ちょっとみづらいものもありますが。
2005年時の入口。江戸文化道場が開催されていたころですね。
2015年時には雷門定食なるものがあり、そちらをオーダーしています。まずは、丸鍋が登場します。
そして、どじょうの蒲焼。
超美味しかった記憶のある茶碗蒸し。これ、今回もオーダーすれば良かった…!
どじょうは丸ごと食べるので、小骨が気になったりもするのですが、駒形どぜうさんはしっかりと煮込まれているので、骨まで柔らかく食べやすいです。
ちなみに、駒形どぜうさんでは、どじょう、でなく、どぜう、と書きますが、当時の仮名遣いでは「どぢやう」、「どじやう」と書くのが正しい表記だったそう。駒形どぜうさんも当初「どぢやう」とされていたそうですが、創業直後に江戸の大火の被害にあい4文字では縁起が悪い、と奇数文字の「どぜう」とされたそうです。その後駒形どぜうさんが評判を呼ぶお店となったことから、江戸にどぜうと名乗るお店が増えたそうですよ。
駒形どぜうさん、久々の訪問となりましたが、江戸文化を体感できる素晴らしいお店だと改めて感じました。やっぱり定期的に行かないとですね。
———駒形どぜう 基本情報———-
〇創業年 1801年創業 / 享和元年創業
〇営業時間
11:00~20:30(L.O.20:00)
※12/31、1/1 定休日
〇住所
東京都台東区駒形1-7-12
(公式サイト)⇒ 駒形どぜう|どぜう料理・くじら料理