三重県鈴鹿市は、壬申の乱の時に大海人皇子(後の天武天皇)が騎乗して洪水の川を渡った鈴を付けた鹿から、あるいは竹の一種・スズタケからなど地名由来には諸説があります。飛鳥時代から東国への交通の要衝で、奈良時代には旧伊勢国の国府が置かれ、江戸時代には東海道53次の44番目・石薬師宿と45番目・庄野宿とがありました。昭和の大戦中の鈴鹿軍需工廠を契機に工業都市として発展し、かつての繊維から今は自動車関連・電機等の工場が多く立地しています。鈴鹿サーキットは、F1の日本グランプリやオートバイの8時間耐久レースなどが多数開催されて国際的に知られる日本有数のレーシングコースです。この歴史ある町にも老舗の和菓子店などが残っています。
1716年創業、鈴鹿名物”小原木”発祥のお店 小原木本舗 大徳屋長久
近鉄白子駅から徒歩10分弱の場所にある 小原木本舗 大徳屋長久。鈴鹿に勤務している兄によると、鈴鹿には「おはらぎ」と呼ばれる和風クレープのようなお菓子を複数店舗で販売しており、その元祖にあたるのが、こちらの小原木本舗 大徳屋長久だそう(ウェブサイトにもその旨記載があります)。
大徳屋長久(屋号)さんは、出入りする廻船に朱印押しや、取締を行う海運会社のような存在として創業。竹口久兵衛氏の時代 享保年間(1716~1735)に和菓子作りを始めた記録が残っており、久兵衛を菓子屋初代として、創業年を享保元年(1716)としているそうです。ちなみに屋号の長久は久兵衛氏の久から1文字とり、長く久しく愛されるように、との思いが込められているのだとか。お菓子作りを始めてから既に300年続いていることを考えると、名前に込められた想いは十分に達成している、と言えそうですね。
こちらが店舗外観。大徳屋長久という名前より、小原木本舗 のほうが大きくて目立ちますね。 中のディスプレイはこんな感じ。小原木をはじめ、沢山のお菓子が販売されていました。
気になったのはこちらのフルーツ大福。パインとキウイの大福は中々見ないですよね(今回は日持ちするお菓子を買う必要があったのでフルーツ大福は購入できず…)。 小原木とお店の説明紙も飾られていました。小原木は紀州徳川氏から、京都の八幡小原を訪れた記念にお菓子を作るように命じられたことがきっかけで誕生しました(下記の紙は九兵衛とありますが、恐らく久兵衛の打ち間違いかと)。
という小原木がこちら。少し細長い半月状のクレープのようなお菓子。中身はこんな感じです。中に餡が入っています。 お菓子の中に栞も入っていました。 中身は小原木の歴史について、です。上述した内容が載っています。昭和天皇に献上したお菓子でもあるのですね。 今回小原木のみの購入となりましたが、もう一つの看板商品かりんとう饅頭も気になりますし、冒頭で紹介したフルーツ大福も気になります。鈴鹿はちょくちょく行く機会がある場所なので、次回訪問時に購入したいと思います。
——- 小原木本舗 大徳屋長久 基本情報———-
〇創業年 1716年創業 / 享保元年創業
〇営業時間
8:00~17:00
※水曜日 定休日
〇住所
三重県鈴鹿市白子一丁目6-26
(公式サイト)⇒ 大徳屋長久|三重県鈴鹿市の和菓子屋 小原木(おはらぎ)、かりんとう饅頭のお土産販売