鎌倉大仏(高徳院)を始め鎌倉五山など多くの社寺が点在する神奈川県鎌倉市。中世の鎌倉幕府以降は衰退していましたが、江戸時代中期に徳川光圀編纂「新編鎌倉志」で名所旧跡が紹介されたことから、寺社も復興され江戸庶民の行楽地として賑わいを取り戻しました。明治以降は保養・別荘地として発展し、特に昭和初期以降は鎌倉文士などの文化人も多く居住。近年は人気の近郊観光地として賑わっており、各所に数多くの老舗の飲食店や和菓子店などが点在しています。
1717年創業、江戸時代に会席料理を確立した 八百善
泉水橋のバス停から徒歩5分、ハイランド入口のバス停から徒歩2分ほどの場所、五大堂明王院境内にある 八百善。1717年(享保2年)に栗山善四郎氏によって浅草山谷で創業された、江戸時代に最も成功した料亭とされるお店です。八百屋としてスタートし、周囲の寺への仕出し料理を始め、料理店として知られるようになりました。江戸を代表する料理店で、徳川将軍家、ペリー来航時の饗応料理、明治時代にはロシアの皇太子ニコライの接待料理を担当するなど、江戸を代表する料理店です。安藤広重や歌川国貞の作品にも描かれていますよ。
元々浅草山谷にあった八百善ですが、安政の大地震・関東大震災・戦災等もあり、築地・永田町・青山・銀座と移転され、一時期は江戸東京博物館内でお料理を出されていらっしゃいました。10年ほどお店がない期間があったそうですが、2013年にお寺の住職との出会いから五大堂明王院境内に移られたとのことです。
という八百善さんへ向かう道。この看板が目印です。 もう入り口からすごいんです。
店内にはいくつかの個室がありました。 我々のお部屋はこちら。ブログ・知の冒険の中の人と2名でお伺いしました。 まずお茶が出てきたんですが、コースターが渋い! お茶飲むと緊張もほぐれますね。
八百善さんはコースのみの提供となります。まずは鰹のたたきが出てきました。からし醤油で食べるのが江戸料理スタイルだそう。 かつおには、大根おろし、大葉、あさつき、茗荷等が和えられていました。さっぱりして良いですね。
椀ものが出てきます。しんじょう的なものだったかと。ゆずが効いていて美味しい。
お造り。酢味噌とワサビで頂きます。酢味噌とわさびって合うんですね。 焼き魚に炒った卵のようなものがかかっていました。初めての食感で美味しい。 唐揚げも大根おろしと共に。全体的にさっぱり頂けるような仕立てを感じます。 そして沢煮が出てきます。 もうちょいアップで。お豆腐にかかっているのが沢煮餡です。一度炒めてあるのか香ばしさを感じました。
ご飯とお味噌汁がやってきます。
オープン!
フキだったと思うのですが、ふきよりちょっと細いかも? 赤だしはさやえんどうでした。
さらにデザートでお汁粉。 お抹茶も。このコース素晴らしいな。八百善さんは江戸料理を今に伝えるお店です。出てくるお料理の数々は、江戸時代より継承したレシピになっています。今回は春にお伺いし上述のメニューだったので、季節ごとにお伺いして季節の江戸料理を全部食べてみたくなりますね。少し行きづらい場所にありますが、またぜひお伺いしたいです。
——- 八百善 基本情報———-
〇創業年 1717年創業 / 享保2年創業
〇営業時間
・11:30〜17:00 (完全予約制)
※水曜日 定休日
〇住所
神奈川県鎌倉市十二所33-2
(公式サイト)⇒ 創業享保二年 江戸料理「八百善」