東京 御茶ノ水 笹巻けぬきすし総本店(創業1702年)

江戸時代初期に、鷹匠(鷹狩の鷹の飼育・訓練者)が住んでいた元鷹匠町から付近の小川や池に因んで小川町と改称された、武家屋敷町があった千代田区神田小川町(おがわまち)。明治からは和洋料理屋・娯楽施設などが賑わい、近隣の駿河台地区に連なって各種の学校などが建ち並び学生街として栄えてきました。出版書籍関係企業も多く、また昭和中期からはスポーツ用品店が軒を連ねています。平成中期以降は周辺を含めて多数のカレー料理店が集積してきましたが、ビルや商店が立ち並ぶ中に老舗の飲食店も残っています。

創業300年越えの東京最古の寿司店

笹巻けぬきすし総本店は創業元禄15年、300年を超える老舗も老舗。東京に現存する寿司屋では最も古いと言われています。元禄15年というと江戸時代真っ只中であり忠臣蔵の討ち入りが起こった年、将軍も徳川綱吉の時代…。うーん、すごすぎてピンときません。唯々300年という歴史の長さに驚かされます。

初代が現代の日本橋に店を構えたのが始まりだそうです。後に暖簾分けされ店舗を広げましたが関東大震災後に残ったのはこの店だけ。その後小川町へ店を移転し現在は13代目がお店を営んでいます。

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笹巻けぬきすしとは

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寿司文化が花開いた江戸時代の江戸名物とされた寿司を「江戸三鮨(えどさんすし)」と言います。与兵衛寿司(よへえすし)、松が鮨(まつがすし)、そして毛抜鮓(けぬきすし)。このうち唯一現存しているものこの「笹巻けぬきすし」だけです。
「笹巻けぬきすし」はその名の通り、笹で巻かれたお寿司。鯛やコハダなどの季節の魚を酢に付けたものを巻いていますが、鯛の小骨は酢に漬けても柔らかくならないため毛抜きで小骨を抜いていたことから名前の由来になったようです。
笹で巻かれ酢を多く使うことから昔の携帯用の保存食と言った所でしょうか。

300年を超えた味

「創業300年!東京最古の寿司屋!さぞかし敷居の高い高級料理店だろう!?」とお思いの方が多いではないでしょうか。
実際に行ってみると実家に帰ってきたような昔懐かしい居心地良さを感じます。近代的なビル群に突如出現する笹で囲まれたこじんまりとした風貌のお店ですが、そこはこの店だけが時間が止まっている感覚に陥ります。

とは言え値段もお高いのでしょう?とお思いかもしれませんが、限定10食ほですがランチは写真の内容で1050円。とてもリーズナブルで驚いてしまします。コストパフォーマンスが凄い。
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そしてランチメニューに着いてくる名物の笹巻けぬきすしは卵とかんぴょうでした。
玉子の方は酢飯を薄焼き卵で巻かれていておぼろが中に入っていました。かんぴょうは普通のお寿司屋さんで食べられるような寛平の味ではなく甘すぎない食べたことのない感じです。素朴だけど味わい深い。
300年前の人もこれを食べていたのだと思うと、味わいもまた変わってきますね。
笹巻けぬきすしはお持ち帰り用にも売られており日持ちするためお土産にも最適です!

これからも守られていくべき寿司のルーツ

自分も学生時代は御茶ノ水に通っていたのですが、この店ことは全く知りませんでした。まさかこんな300年も続く店が学校の近くにあったなんて。飲食店というのはは入れ替わりが激しいのが当たり前である昨今です。変わりゆく時代の中で続けていくことがどんなに難しいことか。今の形の握り寿司流行り始めてが人気だった頃にこの「笹巻けぬきすし」のスタイルを続けていく決断をしたのだと言います。すごいですよね。
是非300年前にタイムスリップしに足を運んでみてはいかがでしょうか?

———-笹巻けぬきすし総本店 基本情報———-
創業年
・1702年(元禄15年)
営業時間
[月~金] 9:00~18:30 [土] 9:00~17:00
ランチ営業
住所
・東京都千代田区神田小川町2-12 宇田川ビル 1F

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