浅草は、都内最古の寺である金龍山浅草寺の門前町として古くから栄えた街。江戸時代には多くの武士・商人や文人墨客などが浅草に集まって江戸文化を育んできました。明治になって六区画（一時期は七区画）の浅草公園となって、六区は劇場や映画館などが林立して興行街として多くの人を集めて繁栄し、現在も全国各地や海外からの観光客で連日賑わっています。浅草の各所には食堂から料理屋までの各種飲食店や和菓子・食品店などの老舗の商店が数多く点在する、東京を代表する老舗の聖地の一つです。

1880年創業、多くの文豪に愛された日本初のバー 神谷バー

浅草駅から徒歩1分ほどの場所、浅草の角地 浅草1-1-1の住所にある 神谷バー。1880年(明治13年)に、神谷傅兵衛氏が浅草区花川戸町四番地にて、郷里の三河の名にちなんだ・みかはや銘酒店を開業したことが始まりです。翌年の1881年には輸入葡萄酒の扱いを始め、1882年には後にデンキブランと呼ばれることになる速成ブランデーを発売されています。神谷バーと名乗られたのは1912年(明治45年)のことで、この時に店内を西洋風に改造されています。神谷バーは多くの文豪に愛されたお店でもあり、太宰治・井伏鱒二・三浦哲郎等の作品に電気ブランや神谷バーについての描写があります。

という神谷バーさんです。何度もお伺いしているのに、記事更新するの忘れていましたw。このビルは1921年（大正10年）に建てられたそうなので、100年越え伸びるになります。浅草のランドマーク的建物でもありますよね。

このデンキブランの看板も好きだなぁ。

入り口はこんな感じの煉瓦調になっています。

こちらは店外のディスプレイ。神谷バーは1Fが居酒屋的スタイルの神谷バー、2Fがレストラン神谷、3Fが割烹神谷とフロアごとに特徴の異なる業態展開をされています。

今回は1Fの神谷バーに入りました。入ると1Fでオーダーできるメニューのディスプレイが出迎えてくれます。上に食券をお求め下さい、とある通り、入り口で食券を買って席に座るスタイルです。着席後のオーダーは席から出来ます。

メニューはこんな感じ。こちらは飲み物編。デンキブランは、デンキブランと電気ブラン<オールド>の2種類あり、オールドが発売当時のアルコール度数45度のオリジナル版、デンキブランが30度と少し飲みやすくなっているタイプになります。

こちらが料理のメニュー。デンキブランの合う料理、とあるのが嬉しいですね。

ということで、デンキブランです。今回は30度版を。デンキブランは創業者・神谷傅兵衛氏が開発したリキュールで、ブランデーをベースに、ワイン・ジン・ベルモットなどをブレンドしたものです。太宰治の人間失格に「酔いの早く発するのは、電気ブランの右に出るものはない」と出てくる有名な飲み物です。

もう少しアップで。電気と名付けられた背景ですが、創業当時は電気はとても珍しく時代の最先端のものであり、同じく新しく世に広まるモノに電気○○という名前がつくのがトレンドとなっていたそう。当初は”電気ブランデー”という名前だったのですが、厳密にはブランデーではないために現在の名称となっています。浅草には同じく電気を関するオムマキで有名なデンキヤホールさんがありますが、あちらは元電気屋さんだった、で流行りで電気とつけた訳ではないそう。

突然写真の質が変わってアレですが、こちらは2015年に電気ブラン<オールド>を頼んだ時の写真。45度でかなりきますw。口がシビルほどビリビリくる、も電気の名前の由来だそうですよ。かなりアルコール度数が高いので、基本チェイサーとセットでないと危ないですw。

その他オーダーしたものたちです。神谷バーに来ると、やっぱりジャーマンポテトが食べたくなります。

名物の1つのかにコロッケも最高だよね。いわゆるカニクリーム的なやつです。

そしてこちらも定番、煮込み。電気ブランにもビールにもめっちゃ合う。

ラストはナポリタンで締め。あぁ、今日も最高だった…！

神谷バーは、食べ物も飲み物も美味しい、というベースな条件を満たしつつ、あの不思議な空間がとても好きなのです。コロナなので、あまり他のお客さんと話しちゃいけない雰囲気がありますが、何度かに一度変なお客さんと出会い、仲良くなれるのが好きなのです。コロナ前に伺った時は、「福島から出張で来る時は毎回ここで飲んでいる」という70オーバーのダンディーなおじさまで、「またここで飲もうな」と別れました。名前も顔も覚えていませんけれどw、そんな会話をしても良い空間であるのが好きです。今回コロナ後初訪問になりましたが、やっぱり好きだなぁと改めて思いました。

———神谷バー 基本情報———-
〇創業年　1880年創業 / 明治13年創業
〇営業時間
・11:30-22:00 (L.O. 21:30)
※火曜日 定休日
〇住所
東京都台東区浅草1-1-1
（公式サイト）⇒神谷バー